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没落お嬢さま
第17章 第十六夜
「そう。あの頃のいずみさんだ。
生意気で、やたらと気高くて、鼻っぱしが強かった、あのいずみさんだ」
亮生がそんな事を口にしたものだから、いずみは、ちょっと顔をしかめたのだった。
「私、そんな嫌な女じゃありません」
と、彼女は言った。
「僕には、そう見えたんだよ。あの頃の君はね。
婚約者だったのに、僕には、指一本触れさせてくれなかった。
それは、君が、僕を見下してたからなんだろう?
自分が美人だと、鼻にかけてたからなんだろ?」
「ち、違います!
結婚前は、貞操を守るのは当たり前じゃないですか。
私は、そのしきたりに従っていただけです」
「うるさい!
僕は、君につれない態度を取られて、ずっと耐えていたんだぞ。
こんなに君に焦がれていたのに、何もさせてもらえなかった気持ちが、君に分かるものか!
あの頃の君は、僕に接吻さえ許してくれなかったんだ!
思えば、はじめて会った時から、そうだった。
あの時は、確か、君も僕も、まだ幼稚園児だったよね。
ママに連れられて、君に会いに行った時、はじめて見た君は、キラキラしたドレスを着ていて、まるで、お人形さんのように可愛かった。
僕は、ずっと君の体に触れてみたくて堪らなかった。
それなのに、あの時から、君は、手すらも握らせてくれなかったんだ!」
「わざとじゃありません!
私のせいではないです!」
いずみは必死に弁解していたのに、熱くなってきた亮生は、すでに聞いてはいなかったのである。
彼は、力強く、いずみの右手首を握った。
「さあ、こっちに来い!
ベッドで僕と寝るんだ!」
亮生は怒鳴って、いずみの体を引っ張った。
生意気で、やたらと気高くて、鼻っぱしが強かった、あのいずみさんだ」
亮生がそんな事を口にしたものだから、いずみは、ちょっと顔をしかめたのだった。
「私、そんな嫌な女じゃありません」
と、彼女は言った。
「僕には、そう見えたんだよ。あの頃の君はね。
婚約者だったのに、僕には、指一本触れさせてくれなかった。
それは、君が、僕を見下してたからなんだろう?
自分が美人だと、鼻にかけてたからなんだろ?」
「ち、違います!
結婚前は、貞操を守るのは当たり前じゃないですか。
私は、そのしきたりに従っていただけです」
「うるさい!
僕は、君につれない態度を取られて、ずっと耐えていたんだぞ。
こんなに君に焦がれていたのに、何もさせてもらえなかった気持ちが、君に分かるものか!
あの頃の君は、僕に接吻さえ許してくれなかったんだ!
思えば、はじめて会った時から、そうだった。
あの時は、確か、君も僕も、まだ幼稚園児だったよね。
ママに連れられて、君に会いに行った時、はじめて見た君は、キラキラしたドレスを着ていて、まるで、お人形さんのように可愛かった。
僕は、ずっと君の体に触れてみたくて堪らなかった。
それなのに、あの時から、君は、手すらも握らせてくれなかったんだ!」
「わざとじゃありません!
私のせいではないです!」
いずみは必死に弁解していたのに、熱くなってきた亮生は、すでに聞いてはいなかったのである。
彼は、力強く、いずみの右手首を握った。
「さあ、こっちに来い!
ベッドで僕と寝るんだ!」
亮生は怒鳴って、いずみの体を引っ張った。