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没落お嬢さま
第20章 第十九夜
「おい。起きろよ。
いつまでボンヤリしてるんだい」

そう言って、亮生は、笑いながら、いずみの体を揺らした。
いずみは、すぐに意識がはっきりして、顔を真っ赤にしたのだ。

「いい見世物だった。なかなか楽しかったよ。
今日は、もう戻ってもいいよ」

亮生が、いずみに告げた。

いずみは、慌てて服の乱れを直すと、お盆を持って、頭を下げ、オドオドしながら、部屋から出ていったのである。

でも、彼女は、うっかり栄養剤のビンを持っていくのを忘れていたようだ。
床に転がったままだった小ビンを見つけた亮生は、それを拾い上げると、思い出し笑いをしながら、ビンの表面をさすったのだった。
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