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没落お嬢さま
第21章 第二十夜
いずみが、そのバナナを机に置こうとした時、亮生は、すぐさま、それを奪い取った。

「このバナナは、僕が食べる為のものじゃない。
君にご馳走してあげるよ」

と、彼は楽しそうに言った。

「あ、ありがとうございます」

いずみは、戸惑いつつ、そう答えた。
彼女には、あまり良い予感がしなかったのである。

「君は、お嬢さまだった頃は、バナナが好物だったんだよね?」

「いえ、それほどでは・・・」

「おやおや。そうじゃないだろ。大好きだったんだよなあ?」

「は、はい」

いずみは、仕方なく、亮生に話を合わせた。
亮生は、ゲラゲラと笑ったのである。

「じゃあ、食べさせてやるから、きちんと準備をしろよ」

「と言いますと、何をすれば」

「昨日みたいに、床に座るんだよ。
そして、僕の方に大事な部分を見せるんだ」

いずみの表情が暗くなったのだった。
彼女の嫌な予想は的中したのである。
だが、彼女には、いっさいの口答えの権利は無かったのだった。
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