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没落お嬢さま
第24章 第二十三夜
第二十三夜
次の日の晩は、いずみも、逃げる事もなく、亮生の部屋へ夜食を届けに向かったのである。
いずみが部屋の中に入ってみると、机に座った亮生は、はなはだ機嫌が悪そうだった。
そんな亮生へ、いずみは、自分から積極的に話し掛けたのだ。
「ご主人さま。お話がございます」
彼女の意外な態度に、亮生もやや驚いたみたいだった。
「なんだ?」
と、彼は聞き返した。
「あのう。これを、ご主人さまにお渡しいたします」
そう言って、いずみは、ためらいつつ、一つの紙包みを亮生に差し出したのだった。
手のひらに乗せられるサイズの、小さく、細長い紙包みである。
中に何かが入っていたのだが、重さはズッシリと言うほどでもなかった。
「これは、一体、何なのだい?」
紙包みを受け取りながら、亮生が尋ねた。
「どうぞ、開けてみてください」
そう言いながらも、いずみは少し頰を赤らめていた。
亮生は、警戒する事もなく、紙包みを開き始めたのだ。
中には、奇妙な棒状のものが入っていた。細めの懐中電灯ぐらいの大きさである。
素材は、ゴムかビニールみたいだ。