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呟き…
第9章 どこまでが浮気…6
「変わってますか?」
「うん、変わってる。だから今田さんは来夢ちゃんと結婚がしたいと思ったんだよね。」
何かを見透かすような表情をする相馬さんが怖いとしか思えない。
私に見えないものを相馬さんは当たり前のように見てると感じる。
悠真の心も相馬さんになら見えるのだろうか?
千代子ちゃんの我儘も相馬さんならあっさりと見抜けたのだろうか?
私が幾ら背伸びをしても見えないもの…。
相馬さんなら私に見えないものを見せてくれそうな好奇心が湧くと同時に逃げ出したい恐怖心も湧く。
混乱する私を相馬さんが笑う。
「来夢ちゃんは僕が我儘を聞く変わりに、どんな見返りを求めてると思うの?」
相馬さんが真っ直ぐに私を見る。
私だけが怖くて相馬さんを見られない。
相馬さんが望む見返り?
悠真は?
悠真は私が消えた時に探す権利が欲しいと言うた。
でも、そんな理由で相馬さんが結婚相手を考えるとは思えない。
相馬さんの彼女達は仕事を恋人にする人ばかり…。
百合さんだって仕事の為に相馬さんと距離を置く。
誰も相馬さんの傍に居ない。
相馬さんが与える我儘は相馬さんの周りから人を遠ざけてる。
私に建築会社を与えても私は建築に夢中になる。
相馬さんが車に夢中になる時間と私が建築に夢中になる時間は決して重なる事が無い。
結果として私は相馬さんの本命になる事は絶対に有り得ない事になる。
我儘を言わない女?
黙ったまま相馬さんに寄り添うだけの人…。
それも違う。
自分が無い人を相馬さんが選ぶとは思えない。
「私には相馬さんが何を望んでるのかわからない。」
私程度の答えでは不完全だとしか言えない。
相馬さんは私の頭をゆっくりと撫でる。
それはまるでお父さんの手のように…。
「今田さんの見返りなら理解が出来てるの?」
相馬さんが悲しげな顔でそう呟いた。