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呟き…
第13章 大ちゃん…無事に飛行機に乗せよう編



次の段階はパスポートを無事に取った大ちゃんをハワイへと連れ出す事が重要任務になる。

流石に前日ともなれば不機嫌な表情を浮かべるお父さんがトランクへと自分の荷物を詰め込む姿を見た。


「そんなもん入れたらあかんてっ!」

「なんでやねん?」


お父さんが荷物として詰め込もうとしてるのは缶ビール…。


「飛行機の気圧で缶ビールが破裂したら父さんはテロ扱いされるんやで…。」


弟が冷ややかに言う。


「テロはあかんやろ!?」


基本は私と同じでビビりなお父さん。

慌てて缶ビールをトランクから取り出す。


「てか、お父さん。普通の服はないんか?」


そう聞きたくなる。

荷物の中にニッカポッカと言われる太い作業ズボンにUVカットの作業シャツがチラホラと見える。


「これが俺の普段着やんけ。」

「いや、お母さんと普通の服を買うたやろ?」

「あんなんハワイで着たらお上りさんやんけ。」

「お上りさんでええから…。」

「えーっ?ハワイで日本の恥を晒すんか?」


既に存在が恥だよ。

弟と2人でその言葉を呑み込む。

今日は悠真も奈美おばちゃんと過ごす為に私も久しぶりに実家に帰って来た。


「なぁ、お父さん…。」


少しでもお父さんと話がしたいのにお父さんはずっと私から目を逸らす。


「髭剃りが要るやんけ。」


そない言うてお父さんが洗面所に消える。


「海外は日本と電力が違う場合があるから充電しとけよ。」


弟が淡々と言えば


「おうっ!」


とお父さんは返事をする。

今は私とは話をしたくないお父さん。

初めての海外旅行というだけでもいっぱいいっぱいなんだろうと思う。


「お母さん…。」


仕方がなくお母さんと台所に立つ。

お父さんの好きなご飯ばかりを作る為だ。


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