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呟き…
第13章 大ちゃん…無事に飛行機に乗せよう編



「日焼けしたら癌になる率が上がる…。」


ボソリと弟が呟いた。

癌の手術経験が5回あるお父さん…。


「なあ、日焼けしたら癌になるんか?コンビニに行ったら俺はまた癌になるんか?」


ビビりだからコンビニに行く間中、弟の脅しを気にしまくる。


「今更、同じやて…。お父さんはもう癌にはならんてお医者さんも言うたやろ。」

「けど来人は新しい医者やんけ。」

「あいつは見習い。まだ医者ちゃうし。」

「いや、あいつが言うならなるかもしれん。」


なら、日焼けの前にタバコを辞めようよとお父さんが買うタバコを眺める。


「これ辞めたら俺は死ぬ。」


タバコを辞めたら癌を一足飛びして死ぬらしい。

お父さんのお馬鹿ワールドに付き合ってればあっという間に夕方になる。

空港で悠真と合流する。


「オッチャンと話せたか?」

「全然、無理や。」

「ええんか?」


ええもなんも。

お父さんは極端なビビりや。

私が追い詰めたら逃走してハワイにすら来てくれなくなる可能性もある。


「オッチャンらしいな…。」


私のお父さんが父親代わりだった悠真も納得する。


「卑怯者っ!」


お父さんの叫び声が空港のロビーで響き渡る。


「何事!?」


私と悠真が駆け付けるとお母さんや弟、他の家族は他人のフリをやり始める。


「奈美だけが卑怯なんや。」


お父さんが私に向かって子供みたいに駄々を捏ねる。


「おばちゃんがなんなん?」


奈美おばちゃんと藤井さんが苦笑いをする。


「しゃあないやん。大ちゃんはゴールド会員とちゃうんやから。」


奈美おばちゃんが言う。


「何の話?」


一番冷静な藤井さんに聞いてみる。


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