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呟き…
第3章 官能って…
「なあ、前に官能小説は一番難しい分野やって言ってたよな?」
休日の昼下がり…。
コーヒーを飲み、悠真に買わせたチーズケーキを食べながら新作ライブ映像に触発されて質問する。
感動するレベルの音楽を聞くと自分の小説のイメージが浮かび、そのイメージを纏める文章が頭の中に浮かんで来る。
そこから私の頭に疑問が湧く。
ストーリーとしてベッドシーンまで私の中で生まれた興奮を描く。
だけどベッドシーンが始まると、その興奮が薄らいでしまう気がする。
悠真はまたしても質問責めかと私に向かって露骨に嫌な顔をする。
「そもそも、お前…。官能の意味とかちゃんとわかってんのか?」
改めて聞かれると返答に困る。
「R-18指定になるSEX描写のある小説…?」
曖昧な知識で答える。
「8割方、不正解と言っておく。」
悠真は呆れた表情でライブに視線をズラす。
「なら、何やねん!?」
正解を聞かないと落ち着かない私は悠真に飛び乗り胸ぐらを掴む。
まあ、悠真にはとにかく乱暴な態度になる。
「近頃はネット小説の普及でそういう作品が増えた事実は否定しない。」
とだけ悠真は言う。
「それがあかんのか?」
「あかんとは言わん…。」
「ほな、何やねん?」
「ちいと、目閉じてみ。」
相手は悠真だから素直に私は目を閉じる。
「想像だけしろ。」
勿体を付けて悠真が言う。
何を?
想像する?
「まずは俺の手…。」
見慣れた手…。
私の手よりも1回りも2回りも大きな手…。
意外と指が長く、男らしい手ではあるがゴツゴツしたお父さんの手とは違いしなやかでバランスよく整った手の形をしてると思う。