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呟き…
第3章 官能って…



「想像や願望で書く場合、人物の心理や感情の部分が薄っぺらになる作品が多いけどな。」


悠真が意地悪に笑う。

正義のヒーローの女の子がいきなり悪の手先に囲まれてレイプのような陵辱を受けるというパターンの作品などでは女の子が『いや、いや…。』とか言いながらも与えられた快感に流されて結局は悦びながら男の性器を咥えたりする。


「現実のレイプにそんなシチュエーションは絶対に起きないと思うだろ?」


確かにそうだ。

現実として女性である私がレイプをされたら心理的に快感よりも恐怖が先に来る。

悠真はそういう作品を書くのはほとんどの場合が男性であり、陵辱する女性に対する自分の願望を書いてるパターンが多いと言う。

逆に女性が書く作品は心理描写や人物描写が濃すぎてくどいと悠真がボヤく。


「主人公が綺麗でしょ?麗しいでしょ?って押し付け感が半端ないのが女流作家のパターンだな。その割りには単純なストーリーを好む男とは違い、ストーリーがやたらと複雑で泥沼化が好きなくせに伏線回収すら出来てないという作品も多い。」

「悠真…、やたらと詳しいな。」

「暇な時に一通りは勉強した。」

「わざわざ官能小説の勉強か?」

「仕事の役に立つかと思ったが、全く役に立たん知識になってもうた。まあ、来夢の質問に答える程度になら苦労はせんがな。」


そりゃ、ありがとう…。

悠真のように、あっさりと官能のなんたるかを把握が出来るほど私は頭が良くない。

ただ悠真が言う通りに官能とは難しいと思う。

単純にSEXの経験があったとしても、それをエロティックに表現する言葉が見つからない。

コーヒーを飲み好きな音楽の世界に浸り悠真という温もりを感じる。

たった、それだけの穏やかで微妙に甘く感じる時間すら文章でそれを表現して読んでくれた人に同じ時間を感じて貰う事は難しい事だと思う。

官能って…。

確かに難しい分野だなぁ…。

そう、ぼんやりと考える間に小説を書くどころか眠りに落ちてしまった。

こんな未熟な私にまともな官能が書ける日が来るのだろうか?

未だに、その疑問からは抜け出せてません。(笑)


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