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呟き…
第3章 官能って…
さっきの言葉通りに悠真が私の髪を耳に掛ける。
それは私にとってはいつもの事…。
「来夢の場合は俺という男に対して既に身体を知り尽くしてる経験が存在する。」
「うん…。」
「なら、今、来夢が感じたような感覚を俺という男を全く知らない人間に文章だけで伝えるとすれば、お前ならどうやって伝えるつもりだ?」
「どうやって?」
考える。
やらしい言葉…。
そんなのは所謂、隠語でしかない。
ならば擬音でやらしさを補う。
いや、それらをただの文章の中で並び立てただけでは、それは単なる自己満足の言葉遊びであり複雑なエロティズムの表現には程遠い。
男性の肉体の描写や動き…。
女性の肉体の描写や動き…。
そんなものは数多に存在する官能小説で全て書きつくされてるはず…。
後は人物そのものの描写…。
男が何故、女と出会い、一夜を共にするのか?
SEXが過激になるだけが官能だと勘違いしてたと自分自身に反省する。
陵辱やSM…。
そういうのが本物の官能だと思ってたのは勘違い。
例え平凡なSEXだとしても、その文章を読んだ人が想像だけで身体を疼かせる事が出来る作品こそが官能小説だと言える。
「んじゃ、陵辱の経験がないのに陵辱系を書くのは絶対に不可能って事か?」
悠真にはストレートに聞く。
「別に、不可能ではないぞ。処女や童貞が官能小説を書いてるって事はザラにある。その場合、想像というよりも願望に近いけどな。」
自分の願望を小説に反映する。
だから、それはないやろと現実では有り得ないシチュエーションが存在する。
私の作品もそういう部分は数多にある。