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呟き…
第6章 どこまでが浮気…3



相馬さんの手がゆっくりと私の頭から顔を撫でるように降りて来る。


「おいで…。」


そう言うなり首の後ろから相馬さんが私を押さえ込むようにして抱き締める。


「ちょっ…!?」

「何もせんよ。」


耳元で相馬さんの声がする。

頭に血が登る。


「ちゃんと口説かれた事が無いから我儘とかも言うた事が無いんやろ?」


それは同情するような声…。


「男の人に口説かれたら我儘になるのですか?」

「僕の経験じゃ、そうなるよ。」

「でも我儘にはなりたくない。」


悠真に我儘を言うのが怖い。

我儘な女は嫌いやて悠真が言うから…。

相馬さんだって仕事をしたいと言う女性を我儘だと思うから結婚が出来ないと言うてる。


「ただの我儘はあかんと思う。けどな…。」


相馬さんが私の髪をゆっくりと力強く撫でる。


「意味のある我儘を好きな女に言われたら男は逆に燃えるんやで。本気でその女を口説き落としたるって意地になるのが男の単純なところや。」


私が相馬さんに甘えたかったはずなのに…。

相馬さんが私に甘えるように体重を乗せて来る。


「意味のある我儘?」

「今田さんは従妹の我儘に意味を感じたんやろ。」

「悠真が?」

「来夢ちゃんを蔑ろにしてでも我儘を聞いてやってるのは、それが理由や。」


千代子ちゃんが不登校だから?

気を使う親戚だから?

悠真が千代子ちゃんに感じた意味がわからない私は泣くしかない。


「泣かすつもりちゃうかったのに…。」


泣き出した私を相馬さんは慰める。

狡いと思う。

汚いと思う。

悠真と結婚するとか言いながら私は相馬さんに逃げようとしてる。

しばらく泣いて落ち着くと


「シンガポールの市場が終わったから…。」


そない言うて相馬さんがトレーラーハウスに私を送ってくれた。


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