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海猫たちの小夜曲
第2章 絶望の始まり ~海色のグラスと小麦色の少女①~
あたしは、ログハウスの瀟洒な入り口に気圧されながら、呼び出しのベルを鳴らす。
奥から、はい、という声がして、先生が玄関の戸を開けてくれた。
「……あの、これ、店長から差し入れです。よろしかったら、どうぞ。」
そう言って、あたしはおずおずと、ビニール袋に入れた鰤のカマを差し出す。
「おお、こりゃ助かるよ。ちょうどこれから晩飯にするところだったんだ。ありがとう。」
「あの……これから食べるんでしたら、キッチン貸してくれれば、あたしが作りますよ。」
その申し出は、いつも色んな話を聞かせてもらっているお礼のつもりだった。
もしかしたら、料理ついでに、また先生の話が聞けるかもしれないし。
「やあ、助かるね。ぜひ、そっちも頼むよ。おーい、遥も晩御飯、食べていくだろう?」
先生が奥にいるらしき人に声をかけていた。
その時、先生が言った「遥」というのが、あたしには誰だかわからなかった。
奥さんかな、とも思ったけど、家にいる人に食べていくか、というのは、聞き方が変だ。
そして、先生に呼ばれて、隣の部屋から出てきたのは、高瀬さんだった。
思わず、えっ!という声が出て、お互いに固まってしまった。
「あれ、二人とも顔見知りだったの?」
先生が顔を見合わせているあたしたちに聞いてくる。
「……同じクラスで、同じ水泳部です……。」
「何だ、そういうことだったか。遥は僕の友達の娘なんだ。小さい時からよく遊びにくるんだよ。」
先生が笑いながら教えてくれた。
学校では、いつも高瀬さん、という呼び方をしていたので、あたしも彼女の遥という名前を完全に忘れていたのだった。
「遥、って名前で言ってるから、奥さんかと思いました……。」
あたしの言葉に、今度は高瀬さんが笑い出した。
「そんなわけないでしょ。先生、バツイチの独身だよ。」
あたしは先生と高瀬さんという予想もしないつながりに面食らいながら、持ってきた鰤のカマをグリルで塩焼きにすると、先生と高瀬さんに出した。
奥から、はい、という声がして、先生が玄関の戸を開けてくれた。
「……あの、これ、店長から差し入れです。よろしかったら、どうぞ。」
そう言って、あたしはおずおずと、ビニール袋に入れた鰤のカマを差し出す。
「おお、こりゃ助かるよ。ちょうどこれから晩飯にするところだったんだ。ありがとう。」
「あの……これから食べるんでしたら、キッチン貸してくれれば、あたしが作りますよ。」
その申し出は、いつも色んな話を聞かせてもらっているお礼のつもりだった。
もしかしたら、料理ついでに、また先生の話が聞けるかもしれないし。
「やあ、助かるね。ぜひ、そっちも頼むよ。おーい、遥も晩御飯、食べていくだろう?」
先生が奥にいるらしき人に声をかけていた。
その時、先生が言った「遥」というのが、あたしには誰だかわからなかった。
奥さんかな、とも思ったけど、家にいる人に食べていくか、というのは、聞き方が変だ。
そして、先生に呼ばれて、隣の部屋から出てきたのは、高瀬さんだった。
思わず、えっ!という声が出て、お互いに固まってしまった。
「あれ、二人とも顔見知りだったの?」
先生が顔を見合わせているあたしたちに聞いてくる。
「……同じクラスで、同じ水泳部です……。」
「何だ、そういうことだったか。遥は僕の友達の娘なんだ。小さい時からよく遊びにくるんだよ。」
先生が笑いながら教えてくれた。
学校では、いつも高瀬さん、という呼び方をしていたので、あたしも彼女の遥という名前を完全に忘れていたのだった。
「遥、って名前で言ってるから、奥さんかと思いました……。」
あたしの言葉に、今度は高瀬さんが笑い出した。
「そんなわけないでしょ。先生、バツイチの独身だよ。」
あたしは先生と高瀬さんという予想もしないつながりに面食らいながら、持ってきた鰤のカマをグリルで塩焼きにすると、先生と高瀬さんに出した。