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海猫たちの小夜曲
第2章 絶望の始まり ~海色のグラスと小麦色の少女①~
 プール掃除の時の平手打ちの凛とした態度を見てからというもの、高瀬さんはあたしの中で半ば、憧れの存在だったのだ。
 だけど、先生を交えて一緒に話してみると、高瀬さんは思いのほか、楽しい子だった。
 それに、あたしの知らないようなこともいっぱい知っていて、頭もいい。
 
 もちろん、平手打ちの一件は、しっかり話のネタにさせてもらった。
 高瀬さんは顔を赤くしていたが、先生は、いかにも遥らしい、と言って大笑いしていた。
 
 その夜、あたしは先生や高瀬さんと食卓を囲みながら、久しぶりに楽しいと思える時間を過ごしていた。
 帰り際、先生は、差し入れのお礼に、といって、あたしに琉球ガラスのグラスをくれた。
 それは、まるで澄んだ海の碧をそのままガラスに溶かしたような、きれいな海色のグラスだった。

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