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海猫たちの小夜曲
第2章 絶望の始まり ~海色のグラスと小麦色の少女①~
あたしの話を最後まで聞き終えると、高瀬さんはいつになく興奮した顔で、あたしの手を握りしめてきた。
「ダイビングのインストラクターなんてすごいじゃない! そりゃ、うちのショボい水泳部なんかで練習するより、そっちの方を優先すべきだよ、絶対!」
「……ほんとに、そう思う?」
いまいち自信のないあたしはうつむき加減で高瀬さんの顔を見つめる。
「思うってば! 自分でお金稼いで、ライセンスまで取ったなんて、もー、大尊敬しちゃうよ! あ、だから、先生も有坂さんのこと、褒めてたんだね。」
「……先生が……あたしのこと、褒めてくれてたの?」
「うん、前に言ってた。今やってるサンゴの調査で土日だけバディ組んでる子は、努力家ですごくいい子なんだ、って。そのときはその「いい子」が有坂さんだって知らなかったけどね。」
高瀬さんの言葉に、あたしはひたすら赤面していた。
あの先生が、あたしのことを褒めてくれていたとか、うれしすぎる話だった。
「はあー、有坂さんがうらやましいよ。やりたいことがきちんとあって、それに向かって努力してるわけだし。わたしなんか、こっちに越してきてから、娯楽がないとか、毎日がつまんないとか、ひたすら文句を垂れてるだけで、自分が情けなくなってくるよ。」
高瀬さんはそう言ってため息をついた。
あたしにとっては、あの凛とした高瀬さんが弱音らしいものを吐くのが意外だった。
「ダイビングのインストラクターなんてすごいじゃない! そりゃ、うちのショボい水泳部なんかで練習するより、そっちの方を優先すべきだよ、絶対!」
「……ほんとに、そう思う?」
いまいち自信のないあたしはうつむき加減で高瀬さんの顔を見つめる。
「思うってば! 自分でお金稼いで、ライセンスまで取ったなんて、もー、大尊敬しちゃうよ! あ、だから、先生も有坂さんのこと、褒めてたんだね。」
「……先生が……あたしのこと、褒めてくれてたの?」
「うん、前に言ってた。今やってるサンゴの調査で土日だけバディ組んでる子は、努力家ですごくいい子なんだ、って。そのときはその「いい子」が有坂さんだって知らなかったけどね。」
高瀬さんの言葉に、あたしはひたすら赤面していた。
あの先生が、あたしのことを褒めてくれていたとか、うれしすぎる話だった。
「はあー、有坂さんがうらやましいよ。やりたいことがきちんとあって、それに向かって努力してるわけだし。わたしなんか、こっちに越してきてから、娯楽がないとか、毎日がつまんないとか、ひたすら文句を垂れてるだけで、自分が情けなくなってくるよ。」
高瀬さんはそう言ってため息をついた。
あたしにとっては、あの凛とした高瀬さんが弱音らしいものを吐くのが意外だった。