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はなむぐり
第3章 膨らむ蕾
一日一日はとてつもなく早く過ぎ去り、うっかりしていると自分は何も成し遂げずにこの世を去るのではと焦る。焦ったところで、いつも通り業務を終わらせて至福の時間を楽しむだけ。
何もない私が、自分より大切なものはと聞かれれば蜜樹と答える。
職場内では結婚しないのかという目で見られるが蜜樹がいるから我慢しているわけもなく、むしろ何が何でも守りたいものは蜜樹以外見つからない。
人並み以上に苦労した蜜樹に最高の家庭を。幸せを。
結婚がすべてではないが、あたたかい人との繋がりを目いっぱい感じて生きてほしい。
夢があるならどんなことも手伝う。
いつでも兄といられるようリビングには兄と私の幼い頃の写真を置いている。
錆びた滑り台の前で、たった一つしか違わない兄とあまりできが良くない私の大切な一枚。