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はなむぐり
第5章 はなむぐりと花
カーテンレールに引っかけた制服とスラックスとYシャツとトランクス、そして、水色のショーツと靴下が左右に動く扇風機に当たって順番にゆらゆら揺れる。
それから、鞄の変形を直すため中身を見ないように素早く内側から整え、ファスナーをしっかり閉めた。
父には先ほど連絡し、泊まらせるならなるべく早く連絡しなさいと言われ心が痛んだ。
もう少し冷静にならなければと反省した。
兄がいなくなり、心労も重なり老いて弱っていく両親にこれ以上心配ごとを増やすなどできない。
「おじさん」
振り返ると、半分開いたドアから顔だけ出してこちらを見つめる蜜樹。
蜜樹が眠っている間に蒸したタオルで身体を拭き、セーラー服の下の黒いキャミソールに発情しそうになったためバスタオルを下半身にかけ、洗濯に意識を向けていた。
「あまり眠れなかったかな」
「ううん。すごく眠れた…起きていい?」
「いいよ。何か飲もう。何も飲ませないで悪かった」
蜜樹はバスタオルをスカートのように腰に巻き、まだ違和感があるのかこちらへ来る足取りは重い。
「じいちゃんに電話したから。明日は土曜日だし、ゆっくり休んでから送るから。明日アルバイトは?」
「大丈夫…ありがとう。じいちゃんに怒られなかった?」
蜜樹は私の横に腰を下ろし、両手でバスタオルを握る。
「大丈夫。次は前もって連絡するようにするから」
蜜樹は私の腕に迷いながらも腕を絡ませ、手のひらを合わせてきた。その気持ちが嬉しく、指を絡ませて繋いだ。
「ありがとう。蜜樹のこと好き?」
上目遣いで問いかける。
「好きだよ。愛してる。全部、大好きだよ」
「蜜樹もおじさんのこと、大好き。愛してるの」
引き寄せられる。
唇は重なり、小鳥のように啄む。