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もしも勇者がラスボスと子作りをしてしまったら。
第1章 いきなりラストシーンです。
もっと……もっと……

感じたことのない欲望が、底無しの沼に沈めていくように自分の心を飲み込んでいく。

唇だけでは飽き足らず、私は自ら絡み合っていくかのように舌を突き出す。

その瞬間、勇者は一瞬ビクっと肩を震わせるも、私の要求に応えるように、その唇をそっと開けた。

舌の上にぬるりとした感覚が走り、私の腰が再び疼きだす。

ありえない……私はいったい何をしているのだ!

クチャクチャと互いの唾液が混ざり合っていく音を鼓膜にへばりつかせながら、頭の中に残っている冷静な自分が叫び声を上げる。

が、すぐにそれは、生まれたばかりのもう一人の自分の人格によってかき消されてしまう。

そんな葛藤と繰り返しが、私の強靭な精神を、内側から破壊していく。

そして、混沌とする意識の中で、ふとある考えが浮かぶ。

宿敵である私を助けることで、生きることよりも苦しい屈辱を与えた勇者……

ならば、私の身を捧げることで、同じような屈辱を与えることができるのではないか?

人間でありながら、しかも勇者でありながら、倒すべく相手と禁忌を犯してしまったとすれば、それは力でねじ伏せられるよりも遥かに残酷な仕打ちなのではないか?
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