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もしも勇者がラスボスと子作りをしてしまったら。
第1章 いきなりラストシーンです。
「……」

予想もしなかった自分の行動に、己自身が一番驚いた。

そして、宿敵である相手も、同じように目を見開き、驚いた表情を浮かべている。

なぜ、このようなことを……

自らも理解できない行動に、激しい後悔の念が押し寄せてくる中、重ねた唇の柔らかさに、私の心の中で何かが弾けた。

不意を突かれた勇者が、慌てて重ねた唇を離そうとした時、私は残された力を精一杯使い、それを阻止する。

そして、まるで相手の弱った心に入り込もうとするかのように、何度も何度も激しく唇を重ねる。

「んっ……」

最初は拒絶していたはずの勇者が、今度は自ら強く唇を押し当ててきた。

その瞬間、私の中に潜む別の人格が目覚めたような声が思わず漏れる。

今までの自分では考えられないような、甘さと色気をたっぷりと含んだような声。

直後、腰のあたりに疼くような感覚が走った。

痛みでも、苦しみでもないその初めての感覚に、私は思わず戸惑う。

私はいったい……どうしてしまったのだ。

全くもって予想もしていなかったこと。

それが今、この身をもって起こっている。

先ほどまで剣を交わし、互いの命を奪い合おうとしていた者同士が、今度は狭い空間の中で、何度も激しい口づけを交わしている。

その度に、私の中にいるもう一人の自分が目を覚ます。
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