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もしも勇者がラスボスと子作りをしてしまったら。
第2章 僕は勇者です。
結局僕は翌日会社を休み、スーツ姿のまま、気がつけばビルの屋上に立っていた。

たとえつつましい生活になったとしても家族が増えればいいなと願っていた僕は、増えるどころかまさかの独り身になってしまったのだ。

胸に疼く痛みと孤独、それに吐き出しきれないキッチンペーパーに対するストレス。

そんなものをまとめてぐしゃりと潰してやろうと思った僕は、数時間躊躇した後、地上45メートルもの高さから飛び降りたのだ。

意識が急速に霞んでいく中、ごうごうとうねるような風の音だけを聞きながら、僕の人生はそこで途切れた……はずだった。

が、驚いたことに、僕は生きていたのだ。

あれだけ散々才能も特技も趣味もなく、人からバカにされることぐらいしか意味もなかった自分が、魔術師も驚くような魔術を成し遂げたのだ。

鉄筋とコンクリートに囲まれた世界から飛び降りた僕が着地した場所は、広大な野原とアルプスのような美しい山々が見える世界だった。
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