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もしも勇者がラスボスと子作りをしてしまったら。
第1章 いきなりラストシーンです。
まさかこんな形で命拾いするとは……

まだ生きていたことにはほっと胸を撫で下ろしながらも、まさか勇者ごときに自分の身を守られてしまった屈辱と悔しさが、じわじわと心の奥から込み上げてくる。

何故だ?

何故こやつは私を助けた?

先ほどまで互いに命を狩ろうとしていた者同士。

放っておけば、こやつの望み通り私は死んでいたはず……

理解できない状況にしばし呆然としていた私は、ふとある考えが頭に浮かんだ。

勇者が私を助けた理由。

それはもしや、生きていることよりも辛い仕打ちを私に味あわせる為ではないのか?

きっとそうだ……

私は残った力で目に力を込めると、相手の顔をギリっと睨んだ。

が、視線が交わった相手の瞳には、もはや敵意を感じられない。

「……」

この地上で最も強いと称えられ、恐れられていたはずの私に、なぜそのような目を向けてくる。
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