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裏切りの幼なじみ
第7章 哀しき未亡人
(いきなりひとり暮らしって……どうすりゃいいんだよ……)

隆志は実家を追い出され、途方に暮れていた。

テニススクールの女性専用ルームで美由紀に『お仕置き』をしたあの日以降、一度も授業に出ないまま、東美学園を退学した。

父親は激怒した。無理もない。

大学受験は努力不足で撃沈。絵を学べる学校を選んだが、当初から潰しが利かないとの理由で大反対されていた。

卒業してプロになる、と出来もしない約束で押し切った挙句、入学一カ月足らずでひっくり返したのだ。

美由紀とも、葉子とも、もう顔を合わせたくない。葉子からはメッセージが届いているが、無視している。

「本館の……町田美由紀という生徒は、出席してますかね」

退学手続きで別館の事務室を訪れた際、職員にそれとなく尋ねた。鉢合わせはごめんだが、近況は気になっていた。

「本館の生徒さんのことは、向こうで訊いてよ」

にべもなかった。

「まぁいいか。今さらどうでも……結局、女に振り回されて終わっちまった」

事実上の高卒で、自活しなければならない。まだ実家に荷物が残っているが、新居が決まれば運び出す約束だ。

他に住みたい街があるわけでもなく、近場で探してみたが、安くていい物件など簡単には見つからない。

(そういえば、あの建物に学童保育があったっけ)

物件を現地見学した帰り、見覚えのあるマンションに気付いて足を止めた。美由紀がいた私設の学童保育があった場所だ。

(そうそう、この階段の前で美由紀と待ち合わせて……よく「遅い!」って怒られていたっけ……)

隆志自身が預けられたことはないが、懐かしい思い出の場所だ。

階段や通路を駆け回って、大人に注意されたことは数知れず。悪いのは美由紀でも怒られるのは決まって隆志のほうだった。

久しぶりに上がる階段をゆっくり踏みしめる。急に行き場を失ったいま、用はなくても目的地が欲しかった。

二階の通路を奥へと進む。埃っぽく澱んだ空気が鼻の奥でざわめく。

(周囲の風景もドアの作りも、当時のままだ)

ドアに当時掲げてあった屋号はなく、個人の表札もない。インターフォンを押すが、音が鳴らない。何度も繰り返すうちに、ドアが開いた。
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