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裏切りの幼なじみ
第7章 哀しき未亡人
風にふわっとひるがえるカーテンみたいに自然と開いたので、向こう側には誰もいないのかと思った。

「中に入って。はやく」

「え? あの……」

逡巡するうち、グッと左手首をつかまれ、強引に引き込まれてしまった。

「ごめんね、びっくりさせちゃって。人の出入りをあまり見られたくないのよ」

手首をギュッとつかんだままでウイスパーボイスの吐息を漏らすのは、妖艶な美熟女だ。
均整のとれたノーブルレッドの唇。胸元の開いた純白ブラウスから哀切の色香が漂っている。

(上品で綺麗な女性だけど、ちょっと疲れた感じだ。ここに独りで住んでいるとか?)

長めの黒髪を後ろにまとめ、前髪の左右から一筋ずつ頬まで垂らしている。その髪の揺れが、生活感を伴った色香に昇華している。

フレアスカートの優雅な揺れに誘われ、部屋の奥へと進む。

「あ、あの、いいんですか? 俺、ちょっと通りがかっただけで……」

「話はあとで聞くわ」

黒いカーディガンを羽織り、ブラウンのスカートを優雅に揺らす女。

(後について歩いてるだけで、凄くいい匂い……癒される)

若い女性にはない、濃厚で奥ゆかしいエレガントな芳香に酔う。

六人掛けリビングテーブルの窓際に案内され、腰を下ろした。美熟女のほかには誰もいない様子だ。

「喉が渇いているでしょ? 汗がすごいもの。麦茶でいい?」

中腰で冷蔵庫を覗く美熟女のヒップが、こちらに向けてむっちりと立体的に突き出されている。

(大きさもちょうど良くて、柔らかそうなお尻……)

ブラウンのフレアスカートは膝下丈で、パンティラインも透けていない。それでも果てしない劣情を懐かせる深遠な魅力があった。

(上品で少しくたびれた美人……それでいて、凄いエッチなショーツをお尻に食い込ませていたりして……)

トラブルやストレスで、もう一週間近くオナニーすらしていない。

生身の女性と二人きり。昼下がりのリビング。あまりに甘美過ぎる。

桃色の妄想でニヤけている間に、彼女は手早く用意した二人分のグラスをテーブルに置いてくれた。

「ありがとうございます……」

半ば強引に連れ込まれた末の、おもてなし。相手は美しい女性だ。とりあえず流されてみることにした。

グラスを傾ける度に氷のすべる音が響き、その心地良さに一気に飲んでしまった。
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