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裏切りの幼なじみ
第7章 哀しき未亡人
ベッドの前で仁王立ちした隆志の足元で、跪くように正座し、ベタつくペニスを咥える。三十九歳の女のなんと屈辱的な姿であろうか。

「少しずつ出すよ」

フェラの時とは違い、頭に置かれた彼の手は優しい。

「うぐ、うぅぐっ……」

(あぁ、麦茶の味がするわ……煎じ薬の味も……意外と平気かも)

美味いとまでは言えないが、吐き出したい欲求は起こらない。

さらさらと奈津子の喉を通過する温かい小水は、いまさっき隆志の体を経て濾過された浄水のようだ。

「んっ……こくっ、こくっ……」

不快だった喉の付着が流れ去った頃、小水は止まった。

「奈津子さんは……本当に聖母なんだね……」

「おかげて口の中も喉もスッキリしたわ。でも、これはきっと隆志くんにとって一度きりの思い出よ……」

鈴口を、ちゅぅっ、と吸って仕上げ、奈津子はウインクをした。

立ち上がると、隆志と対峙した。自分よりずっと大きく成長した少年の柔和な顔が迫る。

おでこにキスが降った。

「許してくれるのね……」

唇を重ね、彼の匂いを共有し、新たな甘味を紡いでいく。

彼の手はブラウスの背を擦り、腰のくびれをなぞるように下りていく。

(久しく抱かれていないわたしの体……劣化しているかも……)

「奈津子さんは、女として魅力的です。顔も、体も、匂いも」

「外側だけよ……体の中は、渇いてる……」

(バカみたいね、わたし、まるで催促してるみたい)

いつの間にかキッチンに移動し、素肌を晒し、ショーツ一枚の姿になっていた。自分で脱いだのか脱がされたのかさえ、曖昧だ。

この少年といると、自我の芯が溶けて、彼と自分がミックスされていくように感じられた。

「奈津子さんって、懐かしい匂いがするな」

「年齢が離れているから……お母さんみたいに感じるかしら」

「母親は……死んだ」

静寂がふたりを包んだ。昼下がりの緩やかな日差しが、小窓のカーテンの隙間からキッチンフロアに広がる。

「わたしは……お母さんの代わりにはなれないけれど、同じくらいにあなたを愛することはできるわ」

「なんで? どうして奈津子さんがそこまで俺のことを……」

 母でもあり、オンナでもある。熟れた女体を持て余す未亡人は、心の中で禁断の炎を燈した。
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