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裏切りの幼なじみ
第8章 柔肌調教
「そうなの? 初めて聞いたな……っていうか奈津子はだいぶ酔ってるね。顔から首までピンク色に染まって、バスローブの色と同じだ」

「あらそう、どうりで頭がぼうっとするはずね。それじゃ、こっちの色付きはどうかしら……」

 ふうぅ……と悩ましい吐息を漏らしつつ、奈津子はバスローブの胸元をゆっくりとずらし、乳房を晒した。

(奈津子の……生乳……)

三十九歳の奈津子が乳房にコンプレックスを抱いていることは感づいていた。垂れ具合を気にしてか、積極的には魅力をアピールせずにいた彼女が、心の扉をまたひとつ開け広げてくれたようだ。

「かわいいおっぱいも……ピンク色だよ、奈津子」

やや張りを失いつつも豊かに艶を放つ乳房。そこはかとない哀愁が谷間を漂う。夫を失い、娘を過去形でしか語れない女の悲しみが毛穴や乳首から薫ってくるように思える。

「……やめましょ。もう寝るわね」

手に触れようとした瞬間、さっとバスローブが閉じられた。

「ベッドメイキングは整えてあるから、ゆっくり寝てね。冷蔵庫の飲み物も自由に飲んで……アルコールはダメよ……」

ふらつく足取りで自室へ向かう奈津子を見送ると、冷蔵庫から清涼飲料を取り出し、喉に流し込む。悶々としたまま寸止めされた熱を冷ますためだ。

ひとりですることもないので、隆志もベッドに入り照明を消す。替えたばかりの清潔なシーツに奈津子の献身を感じる。

想いは自然と隣室に向く。目が冴えて眠れず、そっと部屋を出る。隣室の扉の前に立ち、ドアノブに触れる。抵抗なく開いた。

「うぅっ、あなた……わたしを独りにして……ひどいわ……」

(奈津子の寝言? いや違う……)

女の甘い匂いに誘われ、隆志は忍び足でベッドサイドに接近する。

「うぅ……はぁ……寂しいわたしを癒してぇ……あなた……うんっ」

奈津子が自慰に勤しんでいる。想い人は亡くなった松嶋氏だろうか。

いつの間にかペニスを硬くし、それを露出して握る隆志。

「あ、あなたは結局、わたしを一度も抱いてくれなかった……せめて、天国から、わたしを貫いて……」

(な、何だって? 亡くなった旦那は不能だったのか……)

奈津子の独り喘ぎは、隆志の知るそれと違い媚びの色がない。低く内臓に響くような淫声に、女の本音が宿っている。
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