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ふしだら音楽室〜汚された制服〜
第7章 エピローグ〜卒業の音楽室〜
 3月初旬の寒さは厳しく早春と呼ぶには早すぎるほどだ。
 2月いっぱいをかけて挑んだ大学受験に悠人はすべて失敗し浪人が確定してしまった。
 陰鬱な気持ちで迎える今日の卒業式はあいにくの雨だ。
 底冷えする気温と、うっとうしい小雨に、高校へ向かう足取りも重い。

 暖房がほとんど意味をなしていないアリーナで退屈な卒業式を終えると、クラスで最後のホームルームとなった。
 教室の後ろには保護者がかしこまった姿で並んでいる。
 美魔女風な母親はおらず、ぼったくりの風俗に行ったらでてきそうな、派手なオバサンや、ああはなりたくないと思う頭頂部の薄いオジサンばかりだ。

 クラスメイトの話で知ったが神谷は自己都合で転任したという。
 なんでも教育委員会への告発で不適切な事実が発覚したそうだ。

「それって生徒にセクハラでもしたんじゃね?」

 クラスメイトの何気ない言葉でも、美羽のことが発覚したのではないかと悠人は危惧してしまう。
 けれども移り気な若者たちの話題はコロコロと変わり、ハゲた音楽教師のネタなど瞬殺されていた。
 
「中村君」

 女性の声に呼ばれ振り向くと、そこには吹奏楽部副顧問の福山遥香がいた。

「全部終わったら、ちょっと話したいことがあるから音楽準備室に来てくれない」

「あ……なら、今からでもいいですけど」

「これから最後のホームルームがあるでしょ。それに親御さんや友達と卒業記念の写真撮ったりするでしょ。そういうの全部終わってからでいいから、来てくれるかな?」

「あ……はい。じゃ、ちょっと時間かかるかもしれないですけど、うかがいます」

 今さらなんの話だろうと悠人はおもんみたが、神谷のことかもしれないと認知した。
 ちょっと歳上の姉や友人のように慕われていた遥香は女生徒たちとの記念写真で、なかなか教室からでることができずにいる。
 卒業記念の品をいれた段ボールを抱えた担任が教室に入ってきたので、ようやく遥香は解放された。
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