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蘇州の夜啼鳥
第2章 かりそめの恋
古式床しい意匠を施した舟に、片岡は乗り込んだ。
手を差し出し、暁蕾を引き寄せる。
「…おいで…。お姫様」
暁蕾は恥ずかしそうに…けれどしっかりと手を握りしめ、片岡の隣に座る。

「シャオレイ!
今日は随分と男前なお客さんを連れているんだね」
顔見知りらしい初老の船頭が、にこにこと声をかける。
「もしかして、恋人かい?」
戸惑う暁蕾が口を開くより先に
「是的(そうだよ)」
片岡が答えた。
船頭が口笛を吹く。
暁蕾が眼を見張り、少し泣きだしそうな表情をした。
「…中国語…分かるのね…」
「大切なことはね」
引き寄せて、胸に抱く。

舟が緩やかに船着場を離れる。
船底に打ち寄せる水音がのどかに響く。
水路に迫り出した古い石造りの家々の洗濯物が、ひらひらと風にたなびく。
…物売りの賑やかな声…飴掛けの山査子を売る屋台の甘い香り…。

「…もっとたくさん中国語を知りたいな…」
美しく煌めく黒髪にキスを落とす。
暁蕾が片岡の胸にそっと貌を埋める。
「例えば?」
「愛しているとか…」
「…え…?」
大きな黒い瞳に自分が映っていた。
「…我愛称…ウォーアイニー…。
…知っていたよ…」
笑いかける片岡に眼を細め、そのまま首筋に腕を回した。
「…片岡さん…!」
「君からも聞きたい」
ゆっくりと腕を解き、白い指が片岡の引き締まった頰を撫でる。
「…我愛称…愛しているわ…」
己れの姿を映す黒い瞳は、しっとりと濡れていた。
「…シャオレイ…」
どちらからともなく唇を重ねるその耳に、船頭が唄う牧歌的な舟唄が流れてきた…。






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