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愛することで私たちは罪を犯す
第2章 2. 偽りの世界

「あぁ、俺も朝見たが、ありゃひどかったな」
思い出すようにつぶやく隈川に、その本人を見ていない二人は驚きを隠せなかった。
細かいことを基本気にしないタチの隈川がこれほど言うということは、相当だったのだろう。
ふと、4人の脳内に、全く同じ状態に陥っているひとりの女性が浮かぶ。
「まさか…佐伯と何かあったってことは…」
ボソッと呟いた一ノ瀬の言葉に、全員が硬直する。
琉泉と響が幼なじみで、同居(というか、琉泉の居候)していることは、この場の全員が知っている。
たっぷり数十秒。無言のなんともいえない空気が漂う。
「……いや、そんなことないでしょ」
「ないな。あの佐伯だぞ?」
「ないわよー、さーちゃんに限って」
はははと四人の乾ききった笑いがその場に響き渡った。

