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愛することで私たちは罪を犯す
第2章 2. 偽りの世界

………………
………
「っすみません!!」
たっぷり数十秒。琉泉がなにかをしてから、響は動くことができなかった。
体はおろか、頭さえ働かせることができない。
琉泉が目の前で必死に誤っている姿を瞳に映しながら、しばらくしてその「何か」がキスだったことにようやく気づく。
「あの…その…ごめんなさいっ」
弾丸のように部屋を出て行った琉泉を目で見送り、響は指で唇をなぞった。
「え……」
呟いた言葉は、アルコール臭がただよう空虚な部屋に、静かに消えて行った。

