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さすがに無理やろ
第8章 立ち聞きと待ち伏せ
そんなんで酒飲んだら
こうなるに決まってるやんか…

てかその仕事
青山さんの仕事やなかったんやろ?
そんなん
ほっといたらええし
忙しい言うたらええやんか
…と
言うたところで
青山さんは元気にならへんし…

そもそも
青山さんを攻めるのは
おかしな話で
攻められるんは
管理能力のない上司と
仕事を押し付ける同僚やもんな

「なぁ、青山さん」

「…はい」

「俺はこう見えても
気は長い方やねん」

「え?」

「関西弁でせっかちに見えるかも知れへんし
髭まで生やして
ちょっと性格もキツい思われてるかもやけどな
わりと優しいんやで?」

「あ…はい…」

「せやから
仕事で約束がドタキャンになっても怒らへんし
残業で約束の時間が変更になっても
機嫌悪なったりせぇへん」

「……」

「俺は何時まででも
機嫌良う待ってるから
次からは
ちゃんと昼飯は食うて欲しい」

「…新飼さん…」

「約束やで?」


「…はい」

その時
青山さんは少し穏やかな顔をしていて
でも今にも泣きそうにも見えて
とにかく
会社で見る『青山さん』とは
別人の『青山さん』に見えて…
俺は
そんな青山さんを
壊れそうなくらい抱き寄せたいと思った

できるのなら
やけどな

「気分は?」

「あ、はい。
良くなりました。
もう、大丈夫そうです」

少し酔いが覚めてきたのか
青山さんはまた
しっかりした口調に戻ってきた

なんや…
ゆるっとした喋りも
可愛らしかったのに

「ほな、行こか?」

「はい。
あ、でももう家は近いので
ひとりで平気です」

そうきたか

やっぱ
家まで送るとか
ちょっと早かったんかな…

けど俺
本気で心配やし
送って行きたいし
また手を繋ぎたいし

まだ一緒におりたいし…

「青山さん
まだ俺のこと信用でけへん?」

俺のこと
信用してくれるなら
送って行きたいねんけど

「そう言うわけではなくて」

わかってんで
ちょっと困ってるよな?
強引すぎて。
けど
ほんまに心配やねん

「困らせてごめんな?
けど心配でたまらへんねん。
青山さんと別れたら
青山さんの住んでるとこ
マジで記憶から消すから
せやから送らせてくれへんかなぁ」

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