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恋がしたいと言いながら
第4章 オフィス
 優也くんを思い出すだけで、突き上げられるような感覚が走る。下腹部がキュンと熱くなって、心までとろけてしまう。
 無表情でキーボードを叩きながら、頭の中では昨夜のエッチが延々リピートされているなんて一体だれが気付くだろう。
 職場での私はあまり喋らないしほとんど笑わない。仕事はちゃんとやるけれど、それだけの人間だ。
 一年目の頃は「愛想がない」なんてよく小言を言われたけれど、最近はそんなこともなくなった。
 そういう人なのだと諦めてもらえた部分もあるし、最高に愛想の良い後輩が入ってくれたおかげでもある。
 今年の新卒であるひとみちゃんは、今日も隣の席でパソコンと睨めっこしている。
 きっと子どもの頃からの癖なのだろう。眉をハの字に下げて唇を突き出し、顔全体で「困ってます」を表現している。
「あーん、もうわかんないぃー」
 ついに上がったその声に、私は仕方なく椅子を寄せた。
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