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喪服奴隷・七菜~香織の巻~
第4章 判決
今日は七菜の裁判の判決が下される日だ。
省吾は香織と連れ添って、○○地方裁判所の第1法廷にいた。
被告人が入廷してくる。
いささかやつれた感じはあるが、背筋を伸ばして穏やかな表情をしている。
悟りを開いたような、人生を達観しているようにも見える。
香織によると、どんな判決が下されても控訴はせず
その刑に服すつもりだと聞いている。
省吾は香織に乞われて減刑嘆願書を提出しており
自らも腕の立つ弁護士を雇って七菜につけた。

省吾は、七菜がなぜ救急車を呼んだのか
その意図を知りたかったが、七菜との面会は許可されなかった。
仮に七菜に実刑判決が出た場合、3年は釈放されることはないだろう。
その間に、省吾の悪だくみがどのように広まるか
それを考えると、不安で仕方がない。
七菜が獄中から情報発信をすることも可能なのだ。
それならば、執行猶予を勝ち取って七菜を手元に置いた方が安心できる。
身元引受人もかってでた。別に保護司もつくだろうが
再犯の恐れのない七菜なら、手を煩わせることもないだろう。
いずれにしろ結果はもうすぐ出るのだ。

3人の裁判官が出廷して、一同が礼をすると着席する。
香織は省吾の手を握って、ひたすら祈っている。
七菜はまっすぐに裁判官を見つめたまま、微動だにしない。
判決文が読み上げられる。

「主文 被告人 工藤 七菜を懲役3年に処す。
この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
被告人をその猶予の期間中保護観察に付する。
罰条 刑法203条、199条」
弁護士がこちらを向いて、こぶしをギュッと握る。
傷害罪まで刑を軽減できればなおよかったが
七菜は最後まで殺意を否定しなかったのだろう。
執行猶予がついたのは、まずまずこちらの思惑通りの判決だ。
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