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乳母…めのと
第1章 乳母…1
歩道橋を見ていると震えが止まらなくなった。

歩道橋に登ろうとしたが、足が動かない。
あんな恐ろしい事を誰が…
しばらく立ち竦んでいたが、歩道橋に登るのはやめゆっくりと帰宅した。

そして骨壺を抱き締めながら泣いてしまった。

泣きじゃくり、少し気持ちが治まり骨壷の置き場をどうしようかとチェストに目をやると、スマホにラインの着信メッセージがあった。佐野からだった。

『今日退院ですね。無事に家に着きましたか?』
佐野からのメッセージに孤独なあおいには温かく感じた。
『ありがとうございます。無事に帰れました。』
返信すると
『良かった。あおいさん、ちゃんとご飯を食べていますか?』
『はい…ありがとうございます。』
『あまり、自分を責め過ぎないように。』
『ありがとうございます。隼人君は元気ですか?』
『隼人は…ずっと泣いています(泣 』
『まぁ、どうしたのかしら?』
『ミルクもオムツも大丈夫なんだけど。抱っこをしていたら泣き止むんだけど。ベッドに寝かせるとすぐに…』
『そんなに…大変ね……』
『あ…ごめんなさい。隼人のことばかり…』
『いえ…気にしないでください。佐野さんこそ、大丈夫ですか?』
『自分は…大丈夫か分からないけど、やるしか無いです。』
『そうですね。子育ては…やるしかないですよね。』
『今も抱っこしながらラインしているんですよ。』
『まぁ!大変(笑) 子育てをお手伝いしてくれる方は居ないんですか?おばあちゃんとか…』
『田舎に母はいるけど、母は年で無理。妻の方は妻が亡くなり、妻を連れて帰ってしまい、縁はもう…』
『おひとりで?』
『今は育児休暇中で。』

そんな会話を長時間していた。
『旦那さんとか平気?こんなにラインをしていて。気付かずにすみません。』
佐野は孤独で思いがけずに長く会話をしてしまった事を詫びた。
『私…一人よ。シングルマザーになろうとしていたの。』
『そうだったんだ。。。いろいろ辛かったね。』
優しい言葉にあおいは涙が溢れた。
「ありがとうございます。」
骨壷を抱えスマートフォンを握り締めながら再び泣きじゃくり始めていた。




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