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第1章 乳母…1

「ここです。ありがとう…ございました。」
あおいは、マンションの前に来ると桜田のポケットから手を出した。

「あ、ごめん。トイレを借りてもいい？」

「トイレですか？はい。どうぞ。散らかってますが…」

桜田はあおいの手をもう一度掴んだ。


「いい、マンションに住んでいるんだな。」
エントランスを見渡した。

「親が…買ってくれて…」

「そう、いい親御さんだね。」

エレベーターを降り、部屋の玄関の鍵を開け

「どうぞ。トイレは二番目の左側のドアです。」

桜田は革靴を脱ぐと部屋に上がった。