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6月の花婿
第3章 散蒔かれた誘惑
「でも、気持ちいいでしょ。」
返事を求めない呉の言葉に、汐田は困惑した。
感じていることよりも、呉の表情や、低く囁く声や、指先の動きにときめいてしまうことが汐田を悩ませた。
自分は、本当は同性愛者なんだろうか…。
ふとそんな考えがちらついたが、すぐに振り払った。
まずはこの状況を打開しなければいけない。
「ふっ…くぅ、ん…。」
下腹部に力を入れて、自らの鎖骨に爪を立てた。
皮膚に食い込む爪の痛みで何とか誤魔化して堪えた。
「血、滲んでるけど、そんなに出したくないんだ。綺麗な鎖骨なのに勿体ない。」
そう言った呉は、汐田の指と鎖骨に舌を這わせた。
「あ…そこっ…ぅ。」
鎖骨に柔らかな舌が触れたとき、甘い刺激が汐田の身体を緩ませた。
食い込ませた爪も外れ、下腹部に入れた力も抜けきった。
汐田の自身からは堪えていた熱が吐き出された。
「意外だなぁ。鎖骨が弱いのか?」
汐田の耳元で呉は嘲笑した。