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6月の花婿
第2章 仕掛けられた罠
嬉しいことに翌日は休日で、昼ごろ目を覚ました汐田はコーヒーを注いだ。
手帳からチラシを取りだした汐田は考え込んだ。
せっかくの休日なのでこの会社にぜひ足を運びたいとは思うものの、どこか怪しげな気がしてならないのだ。
「場所も遠いしな。」
あれこれと悩んでいると、携帯の着信が鳴った。
『母さん』と表示されたのを見て、電話に出た。
「もしもし、何の用?」
「芙蓉、お見合いのことで話があるの。」
「中止になった?」
「まさか。日取りが決まったのよ。来週の土曜日だから、休みを取っておくようにね。」
「来週っ?!」
「こういうのは早い方がいいって、父さんに言われたのよ。」
「はあ…何とかするよ。じゃあね、母さん。」
「ええ。たまには帰ってきなさいね。失礼します。」
汐田は電話を切ってすぐに出かける支度を始めた。
あまりにも時間がない。
ならばこちらも早い方がいいと、さっそく例の恋人代行業の会社に出向くことにしたのだ。
しかしこれは全て、汐田を陥れるための罠に過ぎなかった。
そんなことを知るよしもない汐田は、まさにある人物の思惑通りに動いていたのだった。