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夜明けまでのセレナーデ
第10章 僕の運命のひと
…そうして、雪も降り積もった聖夜…縣邸では凡そ三年ぶりに、華やかなクリスマスの舞踏会が開かれた。

さすがに戦前のような規模での夜会ではないが、それでも招待客は百名はくだらないだろう。

玄関の車寄せに、次々と舶来車…もしくは高級国産車が滑るように付けられ、華やかな正装姿の紳士や淑女、令嬢、令息たちが現れる様は、壮観であった。

大戦を乗り越えた旧華族、貴族の紳士、淑女の面々…光の実家や親戚の人々、礼也の取引先の財界人や実業家と華やかかつ格式高い来賓の数々に、下僕やメイドは緊張しながらも、久しぶりの煌びやかな夜会の接待に生き生きと勤しんでいた。

…シャンデリアは数日を掛けて磨き上げられ、眩いばかりの光を放つ。
広間から聴こえてくるのは、弦楽四重奏が奏でるモーツアルトだ。

…まるで、戦前に時が戻ったかのようだな…。

執事の泉は感慨深く、辺りを見渡した。

しかし、これは鉱業で日本一の稼働と生産性を叩き出し、日本の鉱業の復興をリードするほどの豊かな財力がある縣家だからこその風景なのだ。
…没落した元華族や貴族は星の数ほどいるのだから…。

…旦那様のお力と存在は偉大だ…。
泉は改めて、思いに至る。


そうして、下僕やメイドが滞りなく仕事をしているか、さり気なく眼を配りつつ泉は、薫を呼びに大階段を静かに駆け上がった。



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