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夜明けまでのセレナーデ
第10章 僕の運命のひと
…紳一郎と菫のワルツは、招待客に温かく好意的な笑みを齎した。

美貌の元侯爵令息と、この屋敷の愛くるしい令嬢の可愛らしいワルツは人々を和ませるのに充分なものであった。

…紳一郎さんはさすがだな。
男殺しなだけでなく、幼女キラーか…と、やや不謹慎なことを思いながら、二人を見つめる。

ふと眼を転じ、そこに礼也と光と穏やかに談笑している大紋夫妻を認めた。

大紋春馬は正装の黒い燕尾服を堂々と着こなし、まさに往年の美男ぶりを余すところなく発揮していた。
絢子は京友禅の美しい艶やかな着物姿で、嫋やかな愛らしい貌立ちに良く似合っていた。
二人は仲睦まじく、楽しげに笑っている。

絢子は最近、大紋とごく近くの親しい友人を訪ねたり、招いたりできるほどに元気になってきていた。

…暁人のことに関しては…霧がかかったかのように曖昧な反応しかしない。
現実と妄想の世界を、行きつ戻りつしているかのようだった。
しかし、暁人のこと以外は受け答えも話も奇異なことはなく、格段に回復しているかのように見えた。

…絢子小母様も、そうやっていつか暁人のことを忘れてゆくのだろうか…。

そう思うと、胸に隙間風が吹くかのように寒々しく哀しくなる。

薫は息が詰まるような想いに駆られ、広間を横切りそっとバルコニーに出た。


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