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夜明けまでのセレナーデ
第10章 僕の運命のひと
バルコニーから階段を降り、夜の庭園へと進む。
冬の空気はしんしんと冷え、頰を冷たい夜風が過ぎる。

「…寒いと思ったら、雪か…」
闇色の中空から舞い降りてくるのは、ひらひらと儚い天使の羽のような雪のひとかけらだ。

屋敷の舞踏室からは、華やかなウィンナーワルツが柔らかく流れ、磨りガラスとレースのカーテン越しに踊る男女が影絵のように映し出されている。

…まるで、あの大戦が嘘か幻かのように…。

薫は屋敷から目を逸らし、やや荒々しい足取りで庭園の奥へと進んだ。

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