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夜明けまでのセレナーデ
第3章 Tango Noir 〜禁じられたお伽話〜
「何をしにいらしたのですか⁈」
紳一郎は慌ててブランケットを引き上げ、寝台の上で思わず後退る。
「出て行ってください!…十市…」
振り返り十市を見上げ、紳一郎は腕に縋る。
当然、十市が青山を追い払うと思ったのだ。
…しかし、十市は苦しげに眉根を寄せて押し黙っていた。
「十市…?」
不思議そうに見つめ返す紳一郎を、十市は強く引き寄せた。
「坊ちゃん。よく聞いてくれ。俺はもうすぐ出征する。
俺がいない間、あんたを守る強いひとが必要だ。
俺はあんたを青山様に任せることに決めたんだ」
「…え?」
眉を顰める紳一郎の髪を苦しげに…けれど愛情を込めて撫でる。
「…それに…あんたは悩んでいただろう。
青山様に対する気持ちを…。
だからそれももう、悩まなくていいんだ」
「…何を…言っているの?十市…」
掠れた声で問い返す紳一郎に、まるで子どもに言い聞かせるように優しく告げる。
「…あんた、青山様とキスした時…感じたんだろう?
それで、俺に罪悪感を持って…泣いて…。
だから、もう罪の意識を持つ必要はないんだ。
これから俺がいない間は、青山様があんたを守って…大切にしてくれるから…」

…青山とキス…。
以前、不意打ちのように青山に唇を奪われたことがあった。
その時、抗いつつも身体の中を駆け巡った甘く痺れるような感覚を、紳一郎は泣きたいほどに恥じ、十市に懺悔したのだ…。

…十市はその時、怒りもせずただ紳一郎を優しく抱き締めてくれた。
…「泣くな、坊ちゃん。あんたは何も悪くない。あんたは何も心配するな」
…そう言ったのだ。

紳一郎ははっと切れ長の瞳を見開き、激しく首を振った。
「何を…言っているの⁈
十市!…お前…まさか…僕を青山さんに譲り渡すつもりなのか⁈」
自分の言葉に紳一郎は愕然とする。

「いいや、それは誤解だよ。紳一郎くん。
…我々は君を大切に共有することに決めたのだ」
今まで黙って二人のやりとりを見守っていた青山が、ゆっくりと寝台に近づき、紳一郎の傍らに腰を下ろした。
そうして、手入れの行き届いた美しく清潔な大きな手で、紳一郎の白く形の良い顎を優しく持ち上げた。

「…十市くんとの約束はこうだ。
十市くんが戦争から戻るまで、私は君を命を懸けて守る」
…それから…
甘く…どこか膿んだような背徳の言葉が、男の唇から溢れ落ちた。

「…我々二人で、君を愛することを…ね」
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