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第8章 新たなる人物…

『人の女につば…茶髪くん…』
綾香は頬を赤らめたのは彼の‘人の女につば’という言い方に反応したのだ。

『…俺１年だろうと容赦しねぇからっ』
中川はカバンを持ち公園を出ようと歩き出す。

『！？、茶髪くん学校に忘れ物？』
慌てて綾香も追いかける。

『…忘れ物なんかねぇよ、一発殴んなきゃ気が済まねーから学校戻るんだよ』
息巻いてる、相当怒っている。

『茶髪くんそんな事したらせっかく成績もあがってきているのに先生の評価下がってくる、あたしなら…平気…、平気だから…』
追いかけようとするも息があがり背中を丸めて立ち止まる。

『…先生の評価なんか知ったことじゃない、あんたの方が大切だろ、さらし者にされて平気なのかよっ？』
振り向いた中川が綾香の方に駆け寄りながら喋る。

『…平気なわけないけど卒業まで１年もないし、部活も３年は夏までだからそれまで我慢…』
我慢するのが正しいのかさえわからず声が小さくなる。

『部活に出なきゃそれでいいのか？あの夏樹の弟でやりたい依存症なんだろ』
言葉の端々に棘がある、彼は春樹さえも嫌いなようだ。

『依存症…ならみんな宮川くんの周りを避けると思うの、だから…』
やりたい依存症、やりたいという言葉は省いた綾香。

『……わかったよ、今日殴るのはやめとく、送ってく』


散々な１日だった気がする…
宮川先輩が卒業してホッとしていたのに今度は先輩の弟…
卒業まで１年もないとか言ったけど今日みたいな事であたし１年もつのかな…？
すごく疲れた…

『綾香、ハグしよ…』
バスを待つ間考え事をしていた綾香に中川は彼女の背中に手をまわした。

『ち、茶髪くんっ…周りに人が…』
顔が赤くなる。

嫌じゃない…
恥ずかしいけど嫌じゃないっ…
茶髪くんだから…

『守ってやれなくてごめん…』
耳元でそうささやく悔しそうな声。

『いいの…茶髪くん…』
綾香も中川の腕をギュッと掴んだ。

授業中だったし部活中だから仕方ないよ…
優しさが沁みる…