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sweet poison ~愛という毒に身を侵されて……~
第1章 茜陽一の仕事
最初は戸惑いながらも、会社勤めは続けてくれるので、父も渋々了承した。
今でも工場を影から支えてくれている彼は、いつも冷静に物事に対処する。
だが今は、どことなく不安が滲み出ていた。
陽一と水野は空いている会議室へやって来た。
「どうしたんですか? 水野さん。何だか顔色が悪い気がしますけど…」
「…ええ、実はちょっと社長に相談しようか迷っている話がありまして」
水野は持ってきた茶封筒の袋の中から書類を取り出し、陽一に渡した。
書類にざっと眼を通すと、この工場の商品を店で売ってみないかとの内容だった。
「出店のお話ですか?」
「ええ。ところがあんまりにも話が旨過ぎる気がしましてね。もしかしたら詐欺なのかと…」
「ええっ!」
「だって見てくださいよ」
水野は訝しげに、陽一の持つ書類を捲った。
「出費は全てあちら持ち。他の出費も領収書さえあれば向こうが出すと契約書にあります」
「あっ、本当だ」
書類の一番最後は、仮契約書のコピーだった。
「そして一番わたしが怪しいと感じたのは、店の場所です」
「いつもの駅やデパートなどではなく?」
「はい。一つの店として、出してくれるそうです」
水野の言葉に、陽一は動きを止めた。
「店、を? 店って、駅やデパートの一画にある店舗ですか?」
「いえ、この工場の商品を取り扱った一つの店です。彼等が提示しているのは、東京に建物を造り、そこをまるまるウチの店にしたいとのことです」
今でも工場を影から支えてくれている彼は、いつも冷静に物事に対処する。
だが今は、どことなく不安が滲み出ていた。
陽一と水野は空いている会議室へやって来た。
「どうしたんですか? 水野さん。何だか顔色が悪い気がしますけど…」
「…ええ、実はちょっと社長に相談しようか迷っている話がありまして」
水野は持ってきた茶封筒の袋の中から書類を取り出し、陽一に渡した。
書類にざっと眼を通すと、この工場の商品を店で売ってみないかとの内容だった。
「出店のお話ですか?」
「ええ。ところがあんまりにも話が旨過ぎる気がしましてね。もしかしたら詐欺なのかと…」
「ええっ!」
「だって見てくださいよ」
水野は訝しげに、陽一の持つ書類を捲った。
「出費は全てあちら持ち。他の出費も領収書さえあれば向こうが出すと契約書にあります」
「あっ、本当だ」
書類の一番最後は、仮契約書のコピーだった。
「そして一番わたしが怪しいと感じたのは、店の場所です」
「いつもの駅やデパートなどではなく?」
「はい。一つの店として、出してくれるそうです」
水野の言葉に、陽一は動きを止めた。
「店、を? 店って、駅やデパートの一画にある店舗ですか?」
「いえ、この工場の商品を取り扱った一つの店です。彼等が提示しているのは、東京に建物を造り、そこをまるまるウチの店にしたいとのことです」