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戦場に響く鈴の音
第6章 覚悟



馬を駆り、先を急ぐ。

砂埃が舞い上がり、宛ら嵐の様な集団が街道を走り抜ける。


「鈴、落ちるなよ。」


袖で口元を押さえてる鈴にそう言う。

鈴の瞳は真っ直ぐに前しか見てない。

強い子だと思う。

戦に出るのは初めてだというのに泣き言一つ言わずにちゃんと俺について来た。


「黒崎様っ!」

「「黒崎様っ!」」

「黒崎様っ!万歳っ!」


西元に入るなり、兵達が叫び出す。


「よく西元を守ってくれた。後はあの目障りな由の本陣を蹴散らすだけだ。もうひと踏ん張りしてくれ。」


俺の労いの言葉に地響きがするかの如く


「うぉおおおっ!」


と漢達の雄叫びが戦場に舞う。

ひとまず、俺と鈴は本陣に入る。

俺と鈴の天幕の準備が出来次第、西元を守った兵長に状況の報告をさせる。


「黒崎兵、千人将である須賀(すが)と申します。」


本来なら千人将程度が俺の前に来る事はない。


「羽多野(はたの)はどうした?」


黒崎の万人将は本来なら羽多野だ。

その上の位となる兵士長は西元に残してない。


「申し訳ございません。羽多野殿は負傷して…。」

「そうか、なら須賀が万人将の代理をしてくれたのだな。」

「私如きでは万人将の任は務まりません。ですが他の千人将の協力を元に今日まで耐えて来ました。」

「それで充分だ。お前達をすぐにでも故郷へ帰して休ませてやりたいのだが今しばらくは留まって貰う事になる。負傷者は天音に送る手配をしろ。」

「直ちに…。」


須賀は俺の言葉に嫌な顔一つせずによく働く。

寧ろ、俺が来た事で西元を焼いた笹川軍勢に一矢報えると血気に逸る。

俺が西元を去って3週間…。

それは突然やって来た。


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