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戦場に響く鈴の音
第6章 覚悟
とても6つの子とは思えぬ妖艶で美しい顔をした鈴が俺を切る覚悟を決める。
「切るのは最悪の事態の時だぞ。今から切ろうとか思うなよ。」
本当に鈴に切られそうだと思う。
「神路は一度切られた方が良い気がする。」
真顔でそう言う鈴が怖い。
「刀を鞘に戻せ…。」
鞘に収めた刀を鈴の腰紐に付けてやる。
まだ鈴は震えてる。
刀を初めて抜いた恐怖と小さな鈴が必死に戦ってるようにも見える。
「簡単にはお前に切られたりしない。俺は由に勝って鈴と共に燕へ帰る。」
軽い鈴を抱き上げて話す。
鈴はじっと俺の顔を見る。
一言も話さない。
なのに鈴が俺の言葉を信じようと俺の言葉の一つ一つを聞いてるのがわかる。
普段は人の話を聞かない仔猫。
その仔猫の顔を撫でて額に口付けをする。
俺の唇が触れた額を目を丸くした鈴が小さな指先で撫でて確認する。
「神路?」
俺の行為に驚いたらしい。
「お前、そういう時ってほんとに可愛い顔をするんだよな。」
「梁間みたいな事はしないと神路は言ったぞ?」
「梁間と一緒にすんな。俺はちゃんとお前に愛情があるからやってる。」
「愛情?」
今は可愛い鈴を守りたいって程度の愛情だが、俺の中で初めて湧いた感情だ。
「こんな風にされるのは嫌か?」
俺の気持ちに答える鈴が小さく首を横に振り、俺の首に細い腕を回し耳元で
「もっとして…。」
と鈴が鳴るような声で囁く。
ゾクゾクする。
鈴の声だけで俺の全身が熱くなる。
心臓がバクバクして今すぐ鈴を押し倒してやりたい衝動が駆け抜ける。
俺を漢としてその気にさせやがる。
こいつはとんでもなく悪魔な小姓…。
「その気にさせんな。変な気を起こす。」
スベスベで柔らかな鈴の頬に口付けをしてから抱き上げてた鈴を床に下ろす。