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幻の果てに……
第1章  誘惑


 ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆


 シャワーを浴び、バスローブ姿でベッドへ座る。
 翔が浴びている間、有料の冷蔵庫から出したビールを呑んでいた。
 特にアルコールが好きでもない。以前勤めていた会社でも、勧められれば適度に呑む程度。結婚してから、家で一人で呑むことはない。
 自らあの店へ行き、自分で納得してここへ来た。
 それでも、緊張はしている。
 緊張。
 自分ではそう感じたが、期待かもしれない。
 相手は知らない青年。
 経験は少ないが、どんなセックスをするか人によって違うだろう。
 この前の和彦だって、自分の妻じゃないから激しかったのかもしれない。私も同じだったから。
 相手のリードによって、女性は淫らにも慎ましくもなれる。
「お待たせ」
 翔が、全裸のままベッドへ近付いてきた。
 彼の性器が目に入り、視線を落とす。
「奥さんも、そんなの外してよ」
 ベッドに座った彼は、背中に手を回してキスをしてくる。
「んんっ……」
 舌を絡められ、その動きに応えた。
 静かな部屋に響く、クチュクチュという音。
 夫とは、どれくらいこんなキスをしていないだろう。
 それどころか、キスさえなしでセックスする方が多い。付き合っていた頃は、そんな風じゃなかったのに。
「ふぅっ……」
 いつの間にかバスローブの紐を解かれ、乳房をまさぐられる。
「はぁっ……」
 唇が離れると、ベッドへ押し倒された。
 もう火照っている体に、ひんやりとしたシーツが気持ち良い。
「あんっ」
 両方の乳房を揉まれながら、指が乳首を掠める。
 その度に、体が反応してしまう。
「やっぱり、人妻はいやらしいね。起きて、脚開いてよ」
 上体を起こされ、両手を後ろに付いて体を支えた。
「ホラ。膝曲げて? 脚開いて見せてよ」
 恥ずかしい。
 膝は立てたが、それを開けばいやらしい場所が丸見えになってしまう。
 翔はベッドに腹ばいになり、「早く」と急かせる。
「はぁっ……」
 触られてもいないのに、甘い息が漏れた。
「見せてよ。奥さんのいやらしいトコ……」
 年下に、弄ばれているよう。
 少し脚を開くと、クチュという音。



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