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幻の果てに……
第2章  思案


 恭介のカクテルと乾杯してから、少しだけ呑んだ。
 帰ろうという思いは、完全に消えていた。
「去年、双子が生まれたんだ。二つ上にもう一人いるから、俺なんて構ってもらえなくて」
 三人も子供がいるなんて、羨ましい。
 大変だろうが、私からすれば恵まれている。
「一番は子供でさ、ずっとセックスレスだよ。女性は子供を産むと、強くなるしね」
 恭介が笑ったから、私も合わせるように笑った。
「梨央さん、子供は?」
「いません……。夫がずっと、単身赴任で……」
「そうなんだ」
 彼は笑顔のまま。
 悪気がないのは分かっている。それに相手だって、私が本当のことを言っているのか分からないはず。
 こんな店へ来る女性だからと、見下されていても構わない。
 周りにだって、たくさんの女性がいる。私はその中の一人。みんな同じ。
「席、移る? それとも……」
「出ましょう?」
 大胆な台詞でもいい。
 ここを出るというのは、ラブホテルへ誘っているのと同じ。
 相手のプロフィールなんて、必要ない。偽名でもいいから、名前さえ分かれば。
「今晩、泊まれる? 差額は俺が払うから」
「え……」
「妻が、子供連れて実家に戻ってるんだ。一週間の予定で」
 少し迷った。
 泊まれば、朝帰りになってしまう。
 夫の単身赴任中に朝帰りだなんて、近所の目もある。
 私には、断る権利もあった。ここは出会いの店で、好みの相手を探せばいいだけ。
 決めるのは、自分自身。
「ん……。平気……」
 静香に頼もうと思った。彼女の家に泊ったと。
 夫も、親友の静香なら知っている。
 結婚前に会ったこともあるし、夫が単身赴任になる前、何度か家にも遊びに来ていた。
 彼女もここに来ていて、勿論夫には内緒なはず。お互いの夫が会うことはないから、口裏を合わせてもらえばいい。嫌とは言えないだろう。
「じゃあ、行こうか」
 立ち上がった恭介に付いて、店を出た。



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