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幻の果てに……
第6章  衝撃


 ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆


「んんっ……」
 首すじを這う舌に、甘い声が漏れる。
 三日連続夫としたのに、物足りなくて余計に体が疼いていた。
 あの店で会ったのは、洋一。34歳で逞しい体躯。
 その前に40代半ばで細身の男性に声をかけられたが、あの店で初めて断った。
 顔も性格も関係ない。今日は逞しい男性に愛されたかった。
 物足りなかった分。
「はぁっ」
 激しいキスの後全裸になり、洋一は丁寧な愛撫をしてくれる。
 私が求めていたような。
 下半身の疼きはあるが、やはりセックスは愛撫から。
 洋一の性器も逞しくて、それだけで焦らされているようだった。
「あっ、あぁっ」
 クリトリスを舌で愛撫されただけで、熱い物が込み上げてくる。
「そんなに悦いの? これだけでイけそう?」
「ん……。イっちゃいそう……」
「いいよ……」
 そう言うと洋一はまたクリトリスをしゃぶり始めた。
「あんっ、イイっ、はぁっ、ヤぁっ、あぁんっ! あぁっ……」
 全身がビクビクと震える。
 頭がボーっとして、腕を動かすのもだるかった。
「そんなに悦かった? いやらしいね」
 夫とのセックスで本当にイったのは一日目だけ。その後は、イった演技をした。
 ろくな愛撫も、甘い言葉もなしですぐ挿入。気持ち悦かったがイくほどではなく、早く終わって欲しいと思った。
 大袈裟に喘いで適当なところでイった振りをしたら、夫も私の中で出して終わると思ったから。
 思った通り、夫は子作りのためのセックスをしただけ。
「はぁっ……。んんっ……」
「梨央? いい?」
 洋一の言葉に頷いた。
「あぁっ、はんっ」
 逞しいものが入ってくる。
 体を押し広げながら、深い場所まで。すると、すぐにグラインドが始まった。
「あんっ、んんっ」
 頭は一気に覚め、快感に支配されていく。
 夫は悪くない。夫婦のセックスなんて、きっとどこもそんなものだろう。
 何の制約もない私とだから、洋一も燃えられる。
 彼の妻とは違う顔。
 違う体。
 違う喘ぎ声。
 だからこそ、お互いに熱くなれる。
「んんっ、はぁっ」
 奥深くまで侵され、本当の自分を曝け出す。



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