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狼に囚われた姫君の閨房録
第20章 歳三と山南の対立
雨まじりの風が屋内に入り込んだ。夜空が唸りをあげ、稲光りが走った。
「言っていいことと悪いことがございますよ」
むろん、伊東に聞かせるためのセリフだろう。だが、さすがに私は驚いた。
「そのような心にもないことを……」
「心にもないことを言えるほど、器用ではありませんよ。総長たる私を差し置いて、伊東さんを参謀に据え、私をお払い箱にしようとする。今後も共にやっていけという方が無理でしょう」
「何が言いてえ?」
歳三が厳しく冷ややかに言い放つ。
「奥歯にものが挟まった言い方するんじゃねえ。きっちり言いやがれ」
「江戸に戻ろうと思います」
山南は立ち上がると、襟元を整えた。
「今後の身の振り方を考えるつもりですよ」
それって、新選組を脱退するということ?
「そんなことを許すと思うか?局を脱するを許さず。総長も例外じゃねえ」
歳三が眉を吊り上げると、
「私は総長です。格下の君にあれこれ言われる筋合いはありません」
山南のメガネの奥が光った。
「そんな言い分が通るかよ。山崎!」
「はっ」
薄暗い広間の隅で、山崎烝の声がした。白い靄のようなものが少しずつ、人間を形作る。
体を透明化する能力。山崎の得意技だ。
「反逆だ!山南総長を座敷牢にご案内しろ」
具現化した山崎に、歳三は下知した。
「ははっ」
「兄上さま、反逆だなどと……おじ上さまは決してそのような……」
「うるせえ!てめえは引っ込んでろ!!」
声だけは荒々しく、歳三らは広間を出て行った。
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