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狼に囚われた姫君の閨房録
第22章 新八と一の謹慎騒動
一と新八が戻ったのは、翌日の朝早くだった。父の指示で、主計くんと利三郎くんが島原に赴いたのだ。
私がかじかむ手で洗濯物を干していた時、玄関で声がした。真っ白な息を吐きながら、玄関に行くと、
「お戻りあそばしませ」
私は一と新八に挨拶した。
「おう、出迎えご苦労」
新八はご機嫌で手を振り、一もややほおを緩めた。
「今戻った。心配をかけたな」
遊郭にいたのに、どちらもお酒を飲んでいない。白粉の匂いもしない。芸妓と遊びもせず、伊東と何を話し合ったのだろう?
「兄貴が閻魔大王みたいな顔で、副長室でお待ちかねだぜ。覚悟しとけよ」
左之助がイラついて言うと、横の平助も不安そうに言った。 
「大丈夫か?二人とも。俺、一緒に行ってやろうか?」
「百年はええんだよ、バーカ」
新八の大きな手が平助の短く刈った頭をわしゃわしゃさせた。
「今更死ぬのがいやだってこともねえから心配すんな」
「そうじゃなくてさ!」
「副長室にはおじさんもいるから、すぐ切腹にはならないと思うよ」
あとから来た総司が言った。軽口とは裏腹に、心配していたのだろう。
「とりあえず、顔を出してきたら?」
「行ってくる。何も案ずるな」
一は私の肩に軽く手を置くと、新八と副長室に向かって行った。
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