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狼に囚われた姫君の閨房録
第33章 江戸城無血開城
江戸城からの駕籠が着いたのは、新選組が甲州勝沼に進軍した日のこと。空は青く、うら暖かい春の朝であった。
「ご苦労です」
私はお供衆を労うと、駕籠に乗り込んだ。
私は洋風の装いに換えていた。
欧州の娘がまとう乗馬服。白のブラウスにズボン。赤いベスト、上着とブーツは黒である。
これが私の戦闘服だ。
兄たちは生命を的に戦っている。ならば、私も……。
(兄たちに恥じる振る舞いはするまいぞ!)
私は駕籠に乗ったまま大手門を潜り、本丸へと通された。
腰元に案内されたのは、接見の間だった。将軍の玉座は空席だが、両脇に天璋院篤姫と和宮様(家茂将軍の妻)がいた。
私は両人の前で平伏した。
「ご無沙汰申しております、天璋院さま。和宮さま。井伊直弼が姫、すみれにございます」
「すみれ姫か……美しくなられた。見違えましたぞ」
天璋院が目元を和ませると、
「すみれどのとは一瞥以来。して、そのご衣装は……」
口元を綻ばせながら、和宮さまが小首を傾げた。
「此度のお招き、尋常ならざるものと心得ました。新選組が甲州に向かっている間、すべきことをせねばなりません。ささやかな覚悟にございます」
天璋院さまは口元に袖を当てて、ほほほと笑った。
「すみれ姫の利発さは変わらぬな。さすがは鬼大老ご自慢の姫じゃ」
「恐れ入りましてございます」
「姫、女子には女子の戦いがあります。政に出すぎるな、とは我が養父(島津斉彬)の戒めながら、その戒を破りまする」
私は居ずまいをただした。薩長軍が江戸城攻めを決定したことは、私の耳にも届いている。
「近日中に薩摩からの使いがまいります」
「薩摩藩よりのご使者とは?」
「薩摩軍司令官・西郷吉之助どのじゃ!」
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