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狼に囚われた姫君の閨房録
第34章 近藤勇、処刑
私は小部屋に通された。
窓も家具もない六畳間。出されたものは、ぬるい茶一つ。万一を考えて手はつけなかった。
バタバタと足音が近づいてきた。すらっと開く襖。
反射的に私は鞭を手にしたが、
「お嬢!生きてたのかよ?」
飛び込んできたのは利三郎だ。続いて、主計も駆け込んだ。
「よくご無事で、お嬢さん!」
「主計くん、利三郎くん、大丈夫?どこか、怪我は!?」
こんなところで、二人と会うとは思わなかった。
「ねえよ。かすり傷だよ、かすり傷!」
利三郎は左腕を叩いてみせ、
「お嬢さんを局長に会わせたいと、慶喜公の口添えがあったそうですが」
主計が言いにくそうに口籠る。
「香川って提督が局長に伝えたところ、そんな娘は知らぬと」
「なっ!そんなこと……」
「『会ったこともない。さっさと帰せ』と局長は答えました」
「そんなことを言う筈……!」
私は部屋を飛び出そうとした。利三郎が肩を掴んで引き留める。
「どこ行く気だよ?」
「父はどこかの仮牢に入れられてるんでしょ?会ってきます」
「局長の気持ちもわかれよ。お嬢を巻き込みたくねえんだよ」
「俺たちも、帰されるんです」
主計が声を絞り出す。
「俺たちは局長が降る際、お供しました。命はないものと覚悟しましたが、局長は香川敬三に言ったんです。『この二人は入隊したばかり。何も分からぬ新参者ゆえ、解放してやっていただきたい』と」
利三郎が泣くのを堪えながら、
「何が入隊してすぐの新参者だよ?壬生浪士組の頃からの古株だっての。そんな気遣いされたって、嬉しくも何ともねえよ」
拳でぐいっと目元を拭った。 
(……お父上さまらしい)
新選組を脱出させるための投降だったのだろう。他人のために自分を犠牲にする人が、私を巻き添えにしたいとは思うまい。
「引き上げましょう」
ややあって、私は言った。
「あなたたちも解き放たれたんでしょう?知らないと言われては引き下るしかないものね」
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